bjノベルズ
『正義の味方はどこにいる?』
すっとこ
【1】
これだーっ!
コンビニで何気なく立ち読みしたアルバイト情報誌に、俺は、昔からの念願だった募集広告を発見した。
『アクション・ぬいぐるみタレント募集』!
これって、あれだよな。遊園地とかデパートの屋上とかでやってる、ヒーローショーの、中に入ってる人のことだよな。
食い入るように内容を読む。
『ヒーロー・ぬいぐるみショーなど、各種アトラクションの出演・司会』
やっぱり! 俺、ずっと夢だったんだよー。
★アクション・ヒーローになりたいっ
小さい頃から、特撮ヒーローが好きだった。
普通の人間がヒーローに変身すること自体にも憧れたし、敵の怪物や戦闘員と戦うときのアクションにも魅了された。自分もいつか、変身できるようになりたかった。
突然秘密組織とか宇宙人とかにスカウトされたり、偶然宇宙からの光線を浴びたり、実は先祖伝来の宿命を背負っていたり、絶滅寸前の妖精の姿が見えたりして、変身できるようになる可能性も、完全にゼロではないとさえ思っていた。
さすがに中高生の頃はそんなに熱中してはいなかったが、テレビを観られるときは観ていた。この春、大学生になって時間を自由にできるようになってからは、ちょうどハマれる番組をやっていることもあって、ほぼ毎回欠かさず観ている。
現実に変身はできなくても、あのスーツを着てみたかった。
小さい頃から特撮ヒーローが好きだったのは、変身することやアクションのせいだけではなかった。初めはそれらのせいだけだったが、幼稚園の頃、ヒーロー番組を観ることに、もう一つ意味が加わった。
それは、ヒーローの全身スーツの股間だ。
だから、同じ特撮ヒーローでも、俺が好きなのは、ゴテゴテしたメタリックヒーローやウェットスーツ風の巨大ヒーローではなく、断然、体にぴったりフィットした全身タイツ状のスーツのヒーローだ。
俺の、覚えているかぎりでいちばん幼いときの勃起は、そのせいだった。
幼稚園の頃、毎週楽しみにいしていた『青春戦隊ヤングマン』を、居間の床に寝転がって観ていたときのことだった。怪物に羽交い絞めにされたヤングレッドの姿が、足元からどんどん上に向かってアップで映し出されていった。スーツの縫い目や光沢からほのかに見て取れる膨らみに目を奪われた。俺は、床に密着した自分の股間に奇妙な異物感を感じた。
その後のシーンでも、ひたすら目は股間を追っていた。そして、床に股間を押しつけたまま腰をゆっくり動かした。
それ以来、外で遊んでいても『ヤングマン』の時間には走って家に帰るようになった。
『日給五千八百円より』『午前六時台に都内主要駅に集合可能な方』……。並ぶフレーズは、非常識なくらい悪条件だ。
でもいい! こっちが金払ってでもやりたいくらいだ。絶対応募する!
――なんて、雑誌を掴んだまま意気込んで顔を上げると、店内の時計が目が入った。
やっべえ。『玉砕戦隊チャレンジャー』の時間だ。ビデオのセットもしてない!
俺はその雑誌を買い、大急ぎでアパートに帰った。
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2011 TERRA
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