bjノベルズ
『マニアック・ポリス×ポリス・マニア』
英田 大輔

【ACT 1-2】

 彼はズボンを脱がされるのを感じた。彼は目隠しの中で目を閉じた。そして、トランクスは脱がされないままにペニスをくわえられたのだ。彼の瞼(まぶた)の裏に映っていたのは、女の姿ではない。それなのに勃起していた。上にいるのは男だ、俺の唇を割って太い舌を進入させてきているのは、顎鬚(あごひげ)がチクチクと刺さる男なのだ、と解っていたのだが、彼は、堪(たま)らなく興奮していた。犯人の口の中でペニスに歯を当てられると、酷(すご)く気持ちが良くて彼は歯を食いしばった。舌の先の方で弄(もてあそ)ばれると、口の中でレイプ犯と同じ方法で舌を動かした。彼は目隠しを取られた。目をそっと開くと、図体のでかい男が、工場で着るようなグレーの作業着の前のボタンを外していた。中は素肌だった。月明かりが非常階段の隙間を縫って、レイプ犯の胸と腹を照らしていた。胸は巻いた毛で覆われていた。腹は少し出ていたが、引き締まった印象であった。秀和は虚ろな目をし唇の端から、粘着質の唾液を流していた。レイプ犯は、秀和の胸の辺りに鼻を押し付けて、クンクンと音を漏らしながら匂いを嗅いでいた。そして、制服を舐め始めたのだ。脱げてしまった帽子をわざわざ秀和の頭の上に乗っけた。レイプ犯は秀和の腋の下に舌を這(は)わせた。勿論、制服の上からである。秀和には訳が解らなかった。ただ、物凄く卑猥な気分になっていた。かつて、秀和は犯されることなど考えもしなかった。だから、彼にはどういう感情を持って良いものか、解らなかった。つまり、彼はそういう風に生きてきたと言う事だ。誰かが苛(いじ)められていれば、その苛めた者に向かって行き、誰かが嘘をついたなら、それを戒(いまし)め軽蔑する、という、誰かが教えてくれたようなやり方でしか行動できなかったのだ。そして、自らの性を疑うような出来事が起きたことはなかったし、彼は、それに触れようともしなかった。持ち前の鈍感さを完全に駆使して、である。彼のペニスは痛い程に勃起していた。自分でも脈打っているのが解ったのだ。彼の理性や意識は完全にセックスに支配されていた。非常階段の裏には、びっしり苔が生えていて、時折、その苔のかけらが落下してきて目に入るように感じていたが、それは、犯人の汗だと判明した。彼はその時、怒りの感情さえ持たず、ただ、目の中が鬱陶(うっとう)しいから、それが解消されないか、と願っていた。そして、精液をぶちまけたいという、気持ちに囚(とら)われていた。その気持ちと連動するように、彼は、腰を動かしていた。しかし、レイプ犯は制服を舐め続けていた。秀和は、舌打ちをして、心の中で、早くしゃぶってくれと叫んでいた。彼を砕くことなど簡単だったのだ。彼はそれを認めたがらないのだが。レイプ犯が早い息をして秀和の顔をじっと見詰めていた。秀和は、警官のくせに、レイプ犯の顔を覚えておらず、覚えようともしなかった。ただ、しゃぶって貰えるのかと胸を躍らせていた。
 しかし、考えが甘かった。レイプ犯は太いペニスを引き摺り出したのだ。それを、ゆっくりと秀和の口元に持ってきた。自分のと少し違う微(かす)かな匂いに吐き気が込み上げた。そして、吐いた。勢い良く、上に向かって、黄白色の噴水が上がった。夕食の牛丼だ。レイプ犯はオワッと声を上げた。そして、きたねえなあと呟き構わずペニスを秀和の口の中にぶち込んだのだ。これには、秀和も参ってしまった。とにかく、他人のペニスを口に含むのは嫌だと感じた。レイプ犯は腰を動かしていた。そして、歯を当てるんじゃねえ、歯を当てたら殺すぞと怒鳴った。彼のペニスはその怒声で一瞬萎(な)えかけたが、レイプ犯の唇によって再び堅くなった。ゲロとペニス。彼は、また、嘔吐した。そして、まるでそれを理由にしたかのように、レイプ犯のペニスを口から放した。レイプ犯は、ちらりと秀和の方を向いたのだが、再び自分の仕事に専念した。レイプ犯の技巧が鋭くなった。秀和は、レイプ犯の腰を強く抱え込んだ。頬に長いペニスが当たった。警棒のようだと秀和は思った。それにしては、随分と生々しいが。ちらりと見えたレイプ犯の口元が滑稽(こっけい)だと思った。激しく上下に動く彼の頭を見て、一体、誰の為に、そんなに一生懸命なのかと不思議に思った。彼自身のためだろうか。俺のためだろうか。そう秀和は思った。月光が再び消え失せた。闇だ。何もかもを塗り潰してしまう黒。こんなにまで、秀和は荒々しくペニスを刺激されるのは初めてだった。尻の穴まで痺れる感覚を持った。こんなに興奮したのは久し振りだった。そして、そのうちに、久し振り、ではなく、初めてだと気付いた。

前頁 次頁
戻る

2011 TERRA
PUBLICATIONS