けんぞーの毒独読書第10冊
「報われないから美しい」
2006/01/04(水) 配信
 大晦日に『女王の教室』再放送で号泣→不貞寝。レコ大も紅白もすっとばして、腫れた目で時計をみれば、おめでとう新年!だったという、体たらくにもほどがある年越しに、今年も悲壮が滲むけんぞーです(自分で言ってりゃ世話ない)。みなさん、明けましておめでとうございます。
 年末から正月にかけて、あろうことか読書欲が疼き(え?)ここ1週間で3冊ほど平らげまして、潤沢なネタストックを抱えた状態で新年1発目のメルマガを迎えることができました。その中から1冊をご紹介。どうせなら3冊いっぺんに!といきたいところですが、当方そんな器用じゃありませんので、あしからず。

■容疑者Xの献身
 天才数学者でありながら冴えない高校教師に甘んじる石神は、愛する隣人の起こした殺人の隠蔽に手を貸す。物理学者の湯川は果たして真相に迫れるか…!?
 ずんぐりした体格にメガネ奥の糸目。およそノンケ恋愛市場での美醜ヒエラルキーの最下層に位置すると思われる数学教師・石神は、隣に住む母娘がうっかり殺してしまった死体を前にその抜群の明晰さをもって隠蔽工作を即座に構築するわけですが、それというのも母・靖子に気があるからなんです。でも靖子的には石神はめっぽうイケず、彼の協力が自分への好意からくるものと知りつつも別の二枚目とちょっといい仲になったりして、この女もよくやるよ!な感じ。いや、まあねえ、いくら恩があるとはいえ色恋は別モンだし。でもね、石神タンたらそれすら受け止め母娘を守るべく警察の追求に超然と手を打っていくのですよ。なんなのこの人! なんでそんなに意地らしいの! その優しさがけんぞーに向くことはないの! …ないですね。そもそも実在しませんしね。
 石神がどんなトリックを使い犯行の隠蔽を行ったのか?というのが物語の主題なわけですが、真相に迫るほどに石神の愛の輪郭が浮き彫りになるラブストーリー的な要素も孕んでいて、それこそがこのミステリーに特別な深みをもたらしているんです。罪をも厭わない石神の愛情表現こそ悲しいものでしたが、だからこそ純愛たりえる。というのは不謹慎でしょうか? まあそういった背徳の美学は、文学の世界でこそ活きるのかもしれませんね。リアルで実践されたらヒくわ(嘘。感動すると思う。ブスでごめんなさい…)。

容疑者Xの献身 東野圭吾/文藝春秋/ISBN:4163238603
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