けんぞーの毒独読書第8冊
「演技より縁起」
2005/09/07(水) 配信
唐突ですが、アナタは自分のことをどれだけ知ってますか。自分をどんな人だと思ってますか。そして、どんな人だと思われたいですか。
自意識強めでアピール上手なゲイですもの、ホントの自分を知りつつも巧みな演出を駆使し、まんまと人々の頭に偶像を植えつけることに成功している強者もいることでしょう。
けんぞーだって「前世はサボテンだと確信しています」という、いったいどんな人に思われたいのか不明(で不毛)なアピールをゲイ雑誌誌面で展開しているのですが、ノンケ社会においても何かと仮面を被る場合の多いゲイにとって、自己演出はまさに重要なスキルだといえるでしょう(もっともらしい前フリ)。
■野ブタ。をプロデュース
卓越した話術と笑いのセンスを武器に、校内の人気を集める高校生の修二。ある日、修二の前に、イジメられっ子編入生が現れる。修二は彼を人気者にすべく、プロデューサーを買って出るが…。
顔にめり込んだ野暮ったいメガネ、脂っこく撫でつけられたワカメヘアー、おまけに制服がはちきれんばかりの肥満体型…。そらもう、人を測るものさしの大半を視覚的要素が占める高校生としたら、ツッコミどころ満載でしょうよ。しかも名前が、信太=ノブタ=野ブタって! いや本当はシンタと読むんだけど、こんなおいしいネタに若い牙が噛みつかないわけもなく、野ブタくんはシカト→パシリ→リンチとイジメ☆フルコースに遭うのでした。
そんな野ブタくんを利用して、自分の演出力を試そうとする修二。実は、主人公である彼の人気も彼自身の自己演出による賜で、本当の修二はというと、クラスメイトも社会も見下した不愉快な子供。でも、それも裏を返せば、他者と深く関わることに臆病なだけなんでしょうけどね。心を開かなければエヴァは動かないわ!(またこのネタ) つうわけで、イジメられっ子改造計画が始まるのですが、修二の繰り出す手練手管な演出はほんと秀逸! 学校という独特の性質を利用して、集団催眠のごとく野ブタくんをスターダムへ押し上げる敏腕ぶりは、つんく♂も小室もビックリだ。
状況を見極め、ピンポイントで発動すれば絶大な効果を発揮しえる自己演出ですが、ゲイ界ではよほど真に迫った演技でなければ、あっけなく見透かされた上に揶揄の対象となる危険な賭け。僕も過去、先輩ネエさんたちからの「カワイク酔ったフリして甘えればいいのよ〜」という有り難いアドバイスを実践に移しましたところ、ウザイ年下として速やかに処理されました。まあ演技力以前に素材の問題ですね。って、うっさいわ! そんな世知辛い世の中でも、比較的成功率が高いといえるのはネットの世界。サギ画像と口調に気をつければ、アナタもたちまちアイドル!
でもねぇ、修二の化けの皮が剥がれ、凋落の一途を辿るという凄惨な結末を思うと、演出過多も微妙微妙。野ブタくん人気だって彼の人の良さがあってこそだろうし、やっぱ人間、素で勝負といったところでしょうか。ぶっちゃけることで楽になることって、思いの外多いものですよ。男運は縁に任せましょ(と思って独り身4年目)。
ちなみに著者・白岩玄(22)ったら、けっこうな二枚目。ゲイ&オカマテイストではないものの、新鮮な笑いセンスに若い子エキスが配合されています。潤いたい! 潤いたい!
野ブタ。をプロデュース
白岩玄/河出書房新社/ISBN:4309016839
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