けんぞーの毒独読書第4冊
「ネタだれか たのむ」
2005/03/02(水) 配信
イカニモ好きのイカニモ化、ジャニ好きのジャニ化と、同系統でくっつくゲイ業界にはびこる不文律は今さらながらの事実。理想との同化でナルシシズムを満たすのは、オカマのお約束でしょう。逆に反発し、個性を気取ることで同質(だがイビツ)の満足を得る人もいますけど、何か?(けんぞーは間違いなく後者) でも、まあ「あの人の理想に近づきたい!」と前向きにジム通いしているゲイは、それなりに眩しいもので見ていて飽きませんよね。
つーことで、ミーハーと呼ぶには後追い気味の毒独読書ですが、今回もそんな雰囲気で、『電車男』をフィーチャー(反省の色なし)。
■電車男
電車内で暴れる酔っぱらいから女性を救った、オタク青年。年齢=彼女いない歴の彼が、女性をデートに誘うために助けを求めたのは、モテない男たちが集うネット掲示板だった。不器用に気持ちを伝えようとする電車男、手練れな振る舞いで翻弄するエルメス。果たして2人は結ばれるのか…!?
悪名高い巨大ネット掲示板「2ちゃんねる」で実際に起こった奇跡を、スレッドへの書き込みもそのままに(一部編集して)一冊に綴じたリアル・ラブ・ストーリー。もう、とにかく電車男がちょーカワイイ! 恋愛に対して経験がないだけに、ほんとにピュアで愛くるしくジタバタしてくれます。あ、まんまタイトルになってる「電車男」っていうのは、オタク青年のハンドルネームで、さらに青年へのお礼の品がエルメス製だったため、女性は自分のあずかり知らぬ所で「エルメス」と呼ばれるはめに。この辺のネーミングセンスとかベタな感性で安心(?)するんですが、2ちゃんねらー特有の不可解な文字列と暗号めいた共通用語には、濃いオタク臭がつきまといます。とはいえ、そんなのも最初の数ページ。掲示板に集う顔なき声たちによって、電車男が髪を切り、服を買い、脱アキバ系を図るサマに読者は親心に似た感情を抱くことになるんです! いや、読み終える頃には恋すらしているかも…。ゲイの間では、わざとらしい転身や必要以上の媚びは、あざとさとして映る傾向がありますが(好きなタイプは自然な人っていう人、けっこういるよね)、電車男のように「服は店員さんに相談しながら選んだので大丈夫だと思います」くらいぶちまけたなら、あら不思議。素朴さの上に男らしさすら漂うじゃありませんか! イメチェンを目論むアナタはこれを使わない手はないねー。しかし一部では、お話自体が電車男の書き込みによってのみ進むため、自作自演ではないかとの邪推も展開しているようです。が、そんなんどーでもいいじゃんかっ。むしろネタだとしたら傑作じゃんかっ。フィクションだとしても電車男は実在するさ、この胸に…。_| ̄|○ (←使い方あってる?)
純愛ブームのトドメとばかりに登場したこの作品。無駄にドラマティックでなく、けんぞー的にはいちばんキました。『世界の中心で、愛をさけぶ』より身近で、『いま、会いにゆきます』より(ある意味)幻想的な現代のおとぎ話に触れてみて!
電車男
中野独人/新潮出版/SBN:4104715018
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