けんぞーの毒独読書第3冊
「『ひとみアゲ〜!』はゲイ的に正しい!?」
2004/12/08(水) 配信
今、芥川賞が熱い! 今年7月に発表された第131回芥川龍之介賞は、オサレグラサンと坊主頭でイカレタ雰囲気全開のモブ・ノリオ氏が受賞(『介護入門』にて)し、記者会見では壇上に走り込みマイクに飛びつくパフォーマンスで記者たちをおののかせる、ひと場面も…。
そして今回紹介するのは『蛇にピアス』で、そのひとつ前の第130回芥川賞を受賞したのも記憶に新しい、金原ひとみの待望の第2作目。
■アッシュベイビー
主人公のアヤは、大学のゼミで知り合ったホクトとルームシェアをしているキャバクラ嬢。アヤはホクトが働く出版社の同僚に思いを寄せる。一方、ホクトは赤ん坊にしか性的興奮を覚えない、幼児性愛者だった…。
幼児性愛、自傷行為、獣姦と一般的タブーをふんだんに散りばめた衝撃作。マンコとかチンコとか平然と文章中で扱う、お下品なひとみちゃん節は今作でも健在だが、全体に漂う退廃感はどこか物欲しげ。自分で刺した傷口に指をねじ込みながらオナニーに耽るアヤも、赤ん坊の未熟な性器に挿入しようと奮闘するホクトも、欲しいけど手に入らない苦悩に喘いでいる感じ(ホクトは赤ん坊レイプを達成しても、本当の意味で満たされはしないだろう)。多くの読者は、登場人物の非人道的なグロ・プレイっぷりに生理的な嫌悪感を抱くはず。かくいう、けんぞーも、赤ん坊を「それ」と言ったりヒヨコをブーツで踏み潰したりするアヤの粗暴な振る舞いに、マジむかつきました(←低レベルな感想)。
けれど、アヤがホクトの同僚・村野さんに寄せる思いは純粋。会話の脈絡と関係なく「好きです」と、半ばノイローゼのように連発するアヤは、とっても迂闊で可愛らしいのです(って言いたくないけど)。そして「殺されるならこの人がいい」とか言っちゃうあたりどうかと思いますが、結婚や家庭など社会的な制約とは違うトコロで相手と繋がろうとする向きは、もともとそんな選択のないゲイ恋愛に通じるかも。著者の「恋愛は生死と限りなく近い」コメントも行き過ぎ感漂うけど、自分の恋愛を必要以上に崇高な価値あるものとしたいオカマは結構いるわけで、「心中」やら「駆け落ち」やらという言葉に子宮を熱くするゲイには喜ばれそう。僕はそういうのはもうコリゴリです。ぐふっ(吐血)。
同じく芥川賞を受賞した綿矢りさ(『蹴りたい背中』著者)と並べて評されることの多い彼女。ノンケ文学ヲタたちの「りさたん萌え〜」には「ひとみアゲ〜!」で対抗しましょう。作品の好き嫌いは別として。だって正統派美少女キャラの綿矢だけが持てはやされるなんて口惜しいじゃないですか。オカマなら断然、キャバ嬢ビジュアルを地でいくひとみちゃんを応援すべき! ていうかこの二人の対比自体、文系オカマにはご馳走ですよね。ひひひ。
とまあ、今回はあまり好きではない作品について書いてみました。じゃあ紹介すんなよって話ですが、ほら、こういう温度差とか、たまにはさ。
アッシュベイビー
金原ひとみ/集英社/ISBN:4087747018
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