けんぞーの毒独読書第2冊
「叫びすぎて声、老婆」
2004/9/29(水) 配信
「いけない、いけないよジョバンニ!」
「そんなに声を荒げなくったって大丈夫さ、カムパネルラ。それにしてもカムパネルラ。きみのその、興奮すると語尾が裏返る癖、人を小馬鹿にしているようで相当イライラするよね」って勝手に創作して、部屋で独り口走っていたりします。
どうもこんにちは、けんぞーです。僕は本誌の方で、投稿ページを担当させてもらっているのですが、先日こんなお便りをいただきました(ネタゲット)。
Subject: 人は死んでしまったら…
けんぞーさん、こんにちわ。あの…人は死んだら愛も死んじゃうんですか? すごく思うんです。『世界の中心で、愛をさけぶ』を読んでからずっと疑問に思ってました。自分が死んだら愛する人には忘れられたくないです。けんぞーさんはどう思いますか??
(宮城県/19歳)
ご存知、高校時代の恋人との死別を描いたベストセラーですね。なので粗筋は割愛。それにしても「愛」だなんて…! さすが19歳。若さ故の無謀さ。ああ、眩しい…。あ、いえ決してバカにしてるわけではなくて。僕だって愛の探求者です(う、わぁ…)。
映画、テレビドラマと次々に映像化され、ネット掲示板にも専用スレッドが乱立。賛否両論、盛大に交わされてますねー。僕は劇場版CFのわざとらしさが鼻につき敬遠していたのですが、でもまあ流行モノだし〜と小説を一読(OL気質)。まんまと泣かされそうになりましたよ。この手のお話の何が悲しいって言ったら、やはり喪失の感触なのでしょうね。目の前で失われていく、愛する者の命とふたりの未来。過去だけがキラキラと輝いて、二度と戻らない時間を切望させる。嗚呼…。しかし、ゲイの評価は極端に分かれるようです。恋愛を最上級に尊いものとして疑わない乙女ゲイにとって、本書はこれほどないカタルシスをもたらす号泣本。一方で、軽薄な現実を嫌というほど体験してきた、身も心も粘膜も黒ずんだ玄人オカマにしてみたら、陳腐なお涙ちょうだい劇なのです。
さて「人が死んだら愛も死ぬのか?」とのご質問ですが、そんなもの僕には判りません! 死ぬとか、そういう話に食いつくとでも思ったのかっ! …それにしても、誰も死なずに愛だけ息絶える現象はままあることで、それを踏まえると、どうやら人の死と愛の死に必ずしも因果関係が成立するとはいい難いみたい。げ、現実的すぎ!? 僕個人としては、死んだ直後に派手に悲しんでくれれば、あとは思い出にしてしまってほしいです。自分が死んだあとも変わらぬ愛を注げだなんて、まるで呪いのようですし…。逆に自分が取り残される側だとしたら、正直忘れてしまえる自信はありません。ウジウジと引きずり、分かり易く悲劇のヒロインの座に居座ることでしょう。キモイですねえ。
そんなナルな気分に浸るも、鼻で笑って一蹴するも、読者のゲイ経験値と恋愛観が大きく影響しそうなこの一冊。読後のリアクションで自己分析と洒落込もうぜ!
ちなみに、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』最終話、「世界の中心でアイをさけんだけもの」、そしてそのタイトルの元ネタ(?)ハーレン・アリスン著『世界の中心で愛をさけんだけもの』となにか通じるものが?と勘繰ったあなた。もうちょい軽めのようですよ。
…「愛」って言葉の多用は、胸やけしますね↑。
世界の中心で、愛をさけぶ
片山恭一/小学館/ISBN:4093860726
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2011 TERRA
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