けんぞーの毒独読書第1冊
「幸せだった…でもそれはほんとかな?」
2004/08/11(水) 配信
 どうも初めまして。メルマガ初登場、編集部のけんぞーです。
 みなさん、読書はお好きですか? 好きどころか腑に落ちない結末に、本を燃やしてやりたい衝動に駆られたことはありませんか? 僕はあります。登場人物のありえない言動に、ツッコむだけじゃ飽きたらず、セリフの行を小突いてみたことはありませんか? 僕はあります。あまりの傑作と出会い、読後、登場人物とワイングラスを傾けるような倒錯したシチュエーションにうっとりしたことはありませんか? 僕はありません。いや、ほんとに。一緒にしないでください。
 そんな奇怪な行動も物語への愛があってのオタワムレってことで、このエッセイは文学少年気取りのけんぞーが、気の「毒」かつ孤「独」な雰囲気で、「読」書をテーマに書いていこうと思います。
 今回は第1回目なので軽くご挨拶も兼ねて、お気に入りの絵本をご紹介します。え、絵本? まあまあ、その辺は…。
■おおきな木
 いつでも欲しがる少年。いつでも与えるりんごの木。緑で遊び、木陰で休み、林檎で腹を満たした少年もやがて歳をとり、欲しがる物も金や家といったより現実的なものになる。木は文字通り、その身を削り少年に与え続ける。「それで木は幸せだった」。
 ふざけんなっ。幹まで与え、切り株の姿になってまで、何が幸せかっ。惜しみなく与え続けるりんごの木に痛ましさを感じるのは、過去の自分のダメ恋愛とカブるからなのでしょうか。おっと、うっかり独白。けれどもちろん人間と植物ですから、セックスは愚か恋愛の駆け引きも成立しません。少年は幼少期にこそ木に愛情を寄せるものの、なにか困ったことがあると「ドラえも〜ん」とおねだりするノビ太よろしく無様に木の下へ走るのですが、そのとき以外はほったらかしですよ、このロクデナシ。だのに木ったら、渋るでもなくあげちゃうもんだから、小僧つけあがるつけあがる。子育てにおける、反面教師本ですね。って違うから。
 しかし、こういったダメ男好きのゲイが多いのも確か。恋愛に依存しがちなゲイにとって、相手の生活を握ることは、とっても心地のいいものなのです。「自分がいなくなったら、この人ダメになっちゃう…」とか言ってる人、あなたの周りにはいませんか? そんな苦労女房を地でいくオカマに、妙な勇気を持たせてしまう恐ろしい一冊だったりもします。切り株になってからじゃ遅いんだよ(自分で書いてて身につまされる…)!
 と、初回からムリヤリ感漂うまとめですが、個人的にこの本、開くのもツライんです。そこにあると、手にとって泣きそうな気分にさせる罪な絵本なのですよ。まあ、アレだ。読んでみなよ(テキトー)。「それで木は幸せだった…でもそれはほんとかな?」。グサっとクるぜ!
おおきな木
シェル・シルヴァスタイン(著) ほんだ きんいちろう(訳)/篠崎書林/
ISBN:4784101489

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