いやぁゲイムービーってホントにすばらしいですねぇ第22回
ハリウッド映画に飽きたアナタへ…
2005/05/11(水) 配信

 今月はオススメゲイムービィを3本、ご紹介します。ハリウッド映画ではありえない、ジャンクでパンクでエロティックでファナティックな作品。

■桃色
 ベルリンでも失笑を買ったそうですが、おそらくゲイと女性しか楽しめない、伝説的にヘンな映画です。
 なんと言っても見どころは年増のニューハーフを演じる松坂慶子。しかも本人が脚本を読んで「ぜひやらせて。ギャラはいくらでもいいわ!」と申し出たというからエライ。自分のこと、よくわかってます。今回も無駄に脱いだり喘いだり、体を張った大根な演技をたっぷり見せてくれて、心底素晴らしいです。いったい何度笑わせてもらったことか…。女の色気はたっぷりなのに決して高い所には行けず、でも必死で体当たりで生きてるがゆえに切なくもの悲しい「松坂慶子という生き方」が、十二分に(おそらく最高傑作なカタチで)表れている作品。慶子ちゃんの一挙手一投足に注目し、ゲラゲラ笑ったり、ショーのネタ作りに活用したりするのが正しい鑑賞法と言えましょう。
 もっと全体のお話をしなくちゃね(笑)。タイトルの『桃色』がよく示す通り、この映画は筋らしい筋もなく(ぶっちゃけ、ストーリーはデタラメ。つじつまなんて考えちゃダメ!)、ひたすら化粧品のCMのように美しく官能的なシーンを撮ることに徹しています。男×女、男×男、女×女、男×ニューハーフとありとあらゆる組み合わせが見られる、豪華版ロマンポルノ。竹野内豊風味の男優や警官なんかは、本気でイケる人が多いハズ(たぶん監督の個人的趣味。なんたってあの『美少年の恋』を撮った人だから)。性転換して話題になった韓国女優・ハリスも女顔負けの色気と慣れない日本語を駆使して大活躍。耽美なエロス満載の(悪)夢を見るような作品です。
 『桃色 -Colour Blossoms-』
 2004年/香港/監督:ヨン・ファン/配給:シナジー/新宿ピカデリー4他で公開中
 http://www.momo-iro.jp/
■ノミ・ソング
 小学校の校内放送でよく流れる「ノミの歌」の話ではなく、80年代にデヴィッド・ボウイとともに「宇宙から来た」という形容詞で語られ、一世を風靡したクラウス・ノミのドキュメンタリー。
 3本の角のように見える不思議な髪型、モノトーンで統一された奇妙な衣装で、ロボットのように踊りながらオペラ仕立てのソプラノで歌うノミは、時代の最先端を行くオシャレなアーティストとして、日本でも瞬間的に有名になったそう(さすがにその時代の記憶はありませんが)。
 昨年のベルリン国際映画祭のテディベア賞(最も優れたゲイ&レズビアン映画に贈られる賞)にも輝いたように、クラウス・ノミはゲイでした。そして、最も早くエイズを発症して亡くなったアーティストでもあります。あまりにも早く夭逝したのでその私生活などは全く知られず、神秘のベールに包まれながら人々の記憶からも消え去っていましたたが、このフィルムによって「こんな人がいたのか!」と驚愕させられること間違いナシだと思います。ドラァグクイーンのジョーイ・アリアス(何度か来日してますね)とか、僕の愛するモリッシーにも影響を与えたそうで、ある意味僕らの偉大な先輩でもあるわけです。狂騒のNYアンダーグラウンドシーン、そのニューウェイブな雰囲気も伝わる作品。
 公式サイトでは、『ノミ・ソング』宣伝歌姫(ディーバ)に選ばれたレイザーラモン住谷(ハードゲイ芸で有名)も「誰ともかぶらない完全オリジナルオリジナル! 完璧な世界観フー!」と語っています。読んでみてね〜♪
 『ノミ・ソング』
 2003/ドイツ/監督:アンドリュー・ホーン/配給:エレファント・ピクチャー/6月シアターイメージフォーラムにて公開予定
 http://www.elephant-picture.jp/nomi/
■ターネーション
 『911』『ボウリングフォーコロンバイン』を超える新時代のドキュメンタリーと鳴り物入りで紹介され、全米の評論家から絶賛され、数々の映画祭で受賞しているこの作品は、ゲイであり俳優志望であるNY在住の若者、ジョナサン・カウエルが『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督の最新作へのオーディション資料として自作のフィルムを送ったことが、誕生のきっかけでした。その後、なんとカレシのPCに入っていたi-movie(超シンプルな映像編集ソフト)を使って完成されたこの作品は、NY国際レズビアン&ゲイ映画祭に出品され、『マイ・プライベート・アイダホ』のガス・ヴァン・サントからも援助を受け、あっという間に世界で熱狂的に受け容れられるというシンデレラ・ストーリーをたどります。
 ドキュメンタリーだけに映像はすべてリアルな事実のみ。登場するのは、精神治療で電気ショック療法を施されたことで病状が悪化し隔離された母親、ゲイであり自身も離人症に悩まされるジョナサン自身、カレシのデヴィッド、ジョナサンを育てた祖父母、離婚後音信不通になっていた父親…。過酷な運命に翻弄されながらどんどん精神が悪化する母親を引き取り、愛していくジョナサンは、淡々としたリアリズムではなく、自分の中のゲイ的な感性に従って、ジャンクでパンクな映像としてフィルムを紡いでいきます。まだ11歳のジョナサンが、まるで北島マヤのように「子どもを身ごもりながら夫の暴力を受ける女性」としてしゃべり続けるショッキングな映像や、あまりにも美しいリップシンク(ドラァグショー)など、キャムプなシーンも満載。まるで女の子のようだった少年時代から今の短髪ヒゲへの変化もわかりやすくゲイチックです。
 シザーシスターズに次いで、またしてもNYは世界レベルのゲイ・アーティストを誕生させました。この夏、必見の映画です。
 『ターネーション TARNATION』
 2004年/米/監督:ジョナサン・カウエット/配給:日本ヘラルド/夏休み、渋谷シネ・アミューズ他でロードショー
 http://www.i-saw-tarnation.com/

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